パチンコが韓国にないのはなぜ?日本のパチンコの歴史も解説

パチンコが韓国にないのはなぜ?日本のパチンコの歴史も解説

日本の駅前で当たり前のように見かけるパチンコ店。しかし、お隣の韓国ではその姿を全く見ることができません。なぜ、これほどまでに状況が違うのでしょうか。そして、日本のパチンコはどのような歴史を歩んできたのでしょうか。

この記事では、パチンコが韓国に存在しない理由と、日本のパチンコの歴史、そして2025年の最新事情を詳しく解説します。

日本のパチンコ産業は今どんな状況?

日本のパチンコ産業は、市場が縮小傾向にある一方で、生き残りをかけて大きな変革の渦中にあります。そのキーワードが「時間革命」です。これは、限られた時間で楽しみたい現代のプレイヤーのニーズに応えるための、業界全体の大きな変化を指します。

この「時間革命」を支えているのが、「スマスロ」や「スマパチ」といったスマート遊技機です。物理的な玉やメダルに触れることなくプレイできるため、よりスピーディーな遊技が可能となりました。

さらに、短時間で大きな出玉を期待できる「ラッキートリガー」といった新機能も登場し、仕事帰りの会社員などが短時間で勝負を楽しむスタイルが主流になりつつあります。

技術革新が業界を変えている!?

パチンコ業界は、常に技術革新と規制の歴史を繰り返してきました。特に2020年代に入ってからの変化は大きく、プレイヤーの遊技スタイルそのものを変えようとしていることが見てわかります。以下の表は、最近の主要な技術変化をまとめたものです。

日付技術革新概要
2022年スマスロ導入開始・物理的なメダルを使用しないパチスロ ・出玉情報が電子的に管理され、有利区間ゲーム数の上限撤廃など、ゲーム性の自由度が大幅に向上
2023年スマパチ導入開始・物理的な玉を使用しないパチンコ ・Cタイム(RUSH終了後の一部で突入する引き戻しゾーン)の搭載が可能になるなど、新たなゲーム性を実現
2024年ラッキートリガー(LT) 搭載機導入開始・上位RUSH機能として搭載 ・突入率は低いが、従来の出玉性能を大きく超える期待値を持つ ・時間革命の中核を担う
2025年Pスキップ機能搭載機導入・プレイヤーが変動演出を任意でスキップできる機能 ・遊技時間の短縮に直接的に貢献 ・「時間革命」を象徴する機能
2025年ラッキートリガー3.0プラス 導入開始・従来のLTの突入条件を緩和 ・より多様なゲーム性を実現する新基準 ・LT搭載機の普及をさらに後押しすることが期待される

日本のパチンコの歴史について

今や数兆円規模の巨大産業であるパチンコも、始まりはささやかなもので、パチンコのルーツは、1920年代にヨーロッパから入ってきた子供向けの玩具「コリントゲーム」などにあるとされています。これが日本で独自の進化を遂げ、名古屋で初の営業許可店が誕生しました。

戦後の復興期には、娯楽に飢えた人々の間で爆発的に普及し、「パチンコの神様」と呼ばれる正村竹一が考案した「正村ゲージ」により、玉の動きが複雑になり、遊技の面白さが飛躍的に向上しました。

その後、業界はメーカーの技術開発と警察当局による規制強化の「いたちごっこ」を繰り返しながら、時代を象徴する数々のブームを生み出し、巨大産業へと成長していきました。

パチンコを支える日本独自の「三店方式」

日本の法律では、賭博は固く禁じられています。では、なぜパチンコ店で獲得した出玉を実質的に現金化できるのでしょうか。その答えが、日本独自の「三店方式」という巧妙なシステムです。これは、パチンコ店が直接客に現金を渡すことを避けるための仕組みです。

  1. パチンコ店:プレイヤーは出玉を「特殊景品」に交換します。
  2. 景品交換所:プレイヤーは店の外にある景品交換所で、特殊景品を現金に換えます。
  3. 景品問屋:問屋が交換所から景品を買い取り、パチンコ店に卸します。

この「パチンコ店」「景品交換所」「景品問屋」の三者が法律上、独立した事業者であるため、形式的に賭博罪には当たらないと解釈されています。

このグレーゾーンともいえる仕組みが、パチンコ産業が日本で存続できた最大の理由ではないかと言われています。

なぜ韓国にパチンコはないのか?

パチンコの映画やNetflixでは韓国ドラマの「パチンコ」が話題となっていますが、かつて韓国にも、「メダルチギ」と呼ばれるパチンコに似た遊技場が多数存在しました。

しかし、後に国を揺るがす「海物語事件」が起こり、業界全体が消滅に追い込まれます。

この事件は、「海物語」というスロットマシンの許認可をめぐり、国民の間に「パチンコ産業は腐敗した権力と結びついた悪徳産業だ」というイメージが広がり、激しい怒りを買いました。

この国民的な反発が、政府にパチンコ全面禁止という厳しい措置を取らせる決定的な要因となったようです。

グレーゾーンを許さない韓国の厳しい法規制

「海物語事件」が業界の根絶にまで至った背景には、韓国の賭博に対する非常に厳格な法制度があります。日本が「三店方式」というグレーゾーンを黙認しているのとは対照的に、韓国では法律で許可された一部の国営ギャンブル以外はすべて違法です。

韓国では、パチンコのような換金を前提とした遊技が入り込む余地はそもそもありませんでした。業界の法的基盤が非常に脆弱だったため、この事件をきっかけに、政府は迅速かつ徹底的に業界を解体することが可能でした。

現在、韓国国民が合法的にカジノを楽しめるのは、辺境にある「江原ランド」一か所のみで、そこにも厳しい入場制限が課せられているようです。

ドラマ『Pachinko パチンコ』の影響とは?

ドラマ『Pachinko パチンコ』は、映画のような壮大なスケールの作品は、韓国系アメリカ人作家のベストセラー小説を原作としていますが、Netflixでの配信はありません。しかし、動画配信サービスを通じてこの物語への関心が高まっています。

このドラマは、20世紀初頭から4世代にわたる在日コリアン一家の苦難と希望の物語を描いています。これまであまり知られていなかったパチンコ産業の背景にある、差別や貧困を乗り越えてきた人々の人間的な物語が、世界中の人々の心に届けられました。

まとめ

日本の街にパチンコ店があり、韓国にはない。この対照的な風景は、それぞれの国が歩んできた歴史的、法的な道のりの違いから生まれた結果となっていました。

そして、パチンコの映画やNetflixなどでの『Pachinko パチンコ』は、韓国ではなく日本の産業の背後にある家族の物語を世界に伝え、日本や韓国の歴史を知るきっかけとなりました。気になる方は是非チェックしてみてくださいね。